この記事では「サユリ(映画)」についてあらすじ・感想などを紹介しています。
原作はコチラ↓
【サユリ(映画)】のあらすじ
神木家は、夢のマイホームへと引っ越してきた。
父親の昭雄(梶原善)が郊外にある中古の一軒家を購入したのだ。高校に通う快活な長女・径子(森田想)は自室を持てることを喜び、中学3年の長男・則雄(南出凌嘉)はバルコニーからの景色を眺め、新生活にワクワクした。
が、小学5年生で怖がりの弟・俊(猪股怜生)だけは何かを感じ、不安な気持ちだった。公式HPより一部抜粋
登場人物
神木一家
神木則雄(南出凌嘉)……長男
神木春枝(根岸季衣)……祖母
神木章造(きたろう)……祖父
神木昭雄(梶原善)……父
神木正子(占部房子) ……母
神木径子(森田想)……長女
神木俊(猪股怜生)……次男
その他
住田奈緒(近藤華)……則雄の同級生
大浦奈都子(志水九九美)……近隣住民
サユリ……???
【サユリ(映画)】はどのような人にオススメ?
・爽快感のあるホラー映画が観たい人
・グロテスクや性的な表現に耐性がある人
・理不尽なホラー作品が嫌いな人
【サユリ(映画)】の感想
ネタバレが含まれておりますので、閲覧の際はご注意ください。
振り幅の大きさが魅力
本作最大の魅力は、やはり前半後半で一気に作品の雰囲気が変化するところです。
それを理解しているのか、公式HPでは遠慮なく前半部分をネタバレしています。
前半で誰が死ぬかまで全部バラしていく思い切りの良さです。
前半までは、仲睦まじい一家が呪われた一軒家に引っ越してから急に様子がおかしくなり、1人1人幽霊・サユリに殺されていくホラー映画らしいストーリー……だったはずなのですが、いよいよ追い詰められた主人公・則雄の心が折れかけたところで流れは一変。
冒頭からそれまで認知症でボケていたはずの祖母・春枝が覚醒し、家族を殺した幽霊への復讐を宣言します。
そこからどことなくホラーな空気感がなくなり、春枝による則雄の修行パートが始まるため、このあたりから急にサユリに勝てそうな空気になっていきます。
更に主人公・則雄とヒロイン・住田による学校(恋愛?)パートも同時進行するため、ホラー映画でありながらバトル漫画や青春モノのような要素が含まれていたりと、大きな振り幅がある作品でした。
肝心のホラー演出が本格的だからこそ、良い振り幅でした。
妙に爽快感がある復讐
覚醒した春枝の宣言通り、後半から則雄&春枝の復讐が始まります。
則雄を鍛えつつ幽霊の正体を探り続けた春枝は、ついにサユリを幽霊にさせた元凶である彼女の家族「九条家」を見つける事に成功。
春枝は単独で九条家へ乗り込み、なんと彼らをサユリのいる一軒家へ誘拐してしまいます。
そこから彼らを暴行したり、サユリの怒りを鎮めるための生贄にしたりとやりたい放題でした。
幽霊どころか警察に捕まりそうです。
よくある復讐モノだと、最終的に「復讐に意味は無い」と結論を出す展開を見ますが、則雄や春枝に関しては全くそのような発想が出てきません。
清々しいほど後悔もしません。
復讐もここまで貫くとある種の爽快感すらあります。
しかも幽霊の力で復讐した痕跡が都合良く消された上、唯一生き残った九条家の母親も則雄達の行為を警察に黙っていたため、彼らの復讐は罪に問われる事もありませんでした。
そのためラストもホラー映画とは思えない、後味の良いエンディングになっています。
今回は存命する人間側に非があるパターンだからこそ出来た復讐だったので、今度は幽霊側が完全に悪役のパターンを見てみたいですね。
過激な表現以上に重い設定
15歳以上でなければ見る事が出来ない本作。
暴力的な表現や放送禁止用語が含まれていたので、納得ではありました。
しかしその手の描写以上に、サユリが父親に性的暴行を受けていた事を示唆する設定が、最も本作の中でショッキングな部分だったと思います。
この設定があるからこそ同情の余地なくスッキリと復讐が出来たものの、それまで「小百合を退散させる呪文」として則雄達が彼女に浴びせてきた放送禁止用語との取り合わせがえげつないものになってしまいました。
そのため家族やカップルで行くには、気まずい作品になりそうです。
原作にはないオリジナル設定らしいので、作中において最も評価が分かれそうな部分でもあります。
最後に
何の罪も無い人間が一方的に呪い殺される……そんな理不尽に拳で力強く立ち向かう明るい作品でした。
そして映画を見た後に気付いたのですが、祖母の春江役・根岸李衣さんは以前見た映画版「変な家」の片淵文乃だったのですね。
あの時とはまた異なるタイプの迫力ある姿だったので、脳内のイメージがすぐに繋がりませんでした。
素人の月並みな感想で恥ずかしいですが、やはり役者さんの演じ分けはすごいですね。