傑作ミステリーとして有名でありながらも、ある理由からこれまで実写化される事はなかった「十角館の殺人」。
しかし1987年の刊行から37年の時を経て、2024年にドラマ化されました。
この記事では「十角館の殺人」が映像化不可能といわれてきた理由から、ドラマではどうやって実写化に成功したのかまで解説していきます。
重要なネタバレが含まれていますので、未読の方はご注意ください。
以下ネタバレ注意!何故実写化不可能といわれているのか
核心に触れているため、閲覧の際はご注意ください。
「十角館の殺人」が実写化不可能と呼ばれた理由は、犯人に『別人として扱われていた登場人物2名(ヴァン・守須恭一)が、実は同一人物だった』という叙述トリックが仕込まれているからです。
これは文章の書き方で別人と誤認させる仕掛けなので、実写化すると容姿ですぐに同一人物だとバレてしまいます。
そのため、これまで「十角館の殺人」が実写化される事はありませんでした。
果たして実写ではこの仕掛けにどう挑んだのでしょうか。
実写では?
実写では同一人物である事がバレないよう、下記のように容姿を変える事で対応していました。
ヴァン
・目元を隠す長い前髪
・マスク
・ゆったりとした服装
守須恭一
・オールバック
・眼鏡
・ピッタリとした服装
特にヴァンの時は、かなり意識して顔や体型を隠しています。
その上怪しまれないようあえてマスクを外しているシーンも入れ、顔が見える場面ではぼかしを入れたり、手で口元を隠してごまかしたりと、容姿以外の面においてもあらゆる工夫が目立ちました。
さらに医学部のポウを欺くために体調不良(脱水症状)となった結果、ヴァンは弱々しい性格になっていましたが、守須の時は江南を欺こうと普段通りを装っていたのも有り、内面もまったく別人のように見えました。
あらかじめネタを知っていると目元や声から意識はしてしまうものの、先入観無しで見ればほぼ気付かなかったと思います。
初見の方で何人気付いた人がいたのか聞いてみたい部分です。
公式HPは?
そしてもう1つ気になったのは、公式HPに記載されている役名とキャストの表記。
正直に役名を「ヴァン 守須恭一」などと記載してしまえば、始まる前から仕掛けがバレます。
一体公式HPではどのようにごまかしたのでしょうか。
公式HPではミステリ研究会のメンバーはキャストのみ記載し、守須恭一は役名・キャストの両方を公式HPに記載しませんでした。
他の登場人物達は全員役名とキャストの表記があるため、違和感が残る記載ではあります。
しかし初見でそこから真相に辿り着く人はいなさそうなので、これはこれで上手く誤魔化していたように感じました。
ちなみにヴァン(守須)役・小林大斗さんの事務所HPではタイトル・監督名のみの記載となっていました。仕方ないとはいえ、あれほど見事な演じ分けを見てしまうと、役名記載なしは惜しい気がしてしまいますね。
エンドクレジットは?
ドラマにおいても、毎回最後に役名とキャストを表示するエンドクレジットがあります。
これも公式HP同様、ヴァン(守須)の表記が気になるところなのですが「十角館の殺人」においてはエンドクレジットそのものがありませんでした。
ヴァン=守須と判明する瞬間までは。
彼の素性がラストで判明した途端、その役名とキャストが解禁。
そのままエンディング曲「低血ボルト(ずっと真夜中でいいのに。)」と共に、全体のエンドクレジットも表示されるという、特殊演出での対応となりました。
これはドラマだからこそ出来た演出でしたね。
「衝撃の一行」と呼ばれたシーンに夢中になっていた所からのこの演出だったので、まさかのエンドクレジットで盛り上がりが最高潮になってしまいました。
まとめ
すでに読んでいる人に向けたネタがいくつも散りばめられており、真相を知っていても十分に楽しめる作品でした。
更に今回の反響を受け、新たなる館シリーズの製作が決まったらしく、非常にワクワクしています。
順番通りに行けば次回作は「水車館の殺人」となりそうですが、2025年1月時点では発表タイトルがまだ「●●館の殺人」となっているため、何が来るか分からないのも気になるところです。
館シリーズは十角館以外にも映像化が難しい作品が多いですが、あえてそこに挑戦してみたりするのでしょうか。
可能なら全作品映像化して欲しいぐらいの心持ちなので、何が来ても楽しみです!
原作
漫画
※ドラマ版はHuluにて全5話独占配信となります。
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