映画『あのコはだぁれ?』『ミンナのウタ』感想:うっかり逆から観てしまったけど面白かった(ネタバレ注意)

映画

海外ホラーばかり観ている私ですが、たまには日本ホラーも楽しみたいと思い、ふと目に入った映画『あのコはだぁれ?』を視聴してみました。
ところが視聴後「面白かったけれど、あの展開は一体どういうこと?」と気になる点がいくつも…。
その部分について調べている内に、本作は『ミンナのウタ』という作品が元になっていると判明し、勢いのままこちらも続けて観てしまいました。

この記事では『あのコはだぁれ?』および『ミンナのウタ』のネタバレを含む感想をまとめています。未視聴の方はご注意ください。

あのコはだぁれ?

※本来こちらが続編ですが、今回は視聴した順に書いていきます。

続編と聞くと、前作を観ていなければ理解できない作品を想像しがちですが『あのコはだぁれ?』は前作の存在を知らなかった私でも、問題なく楽しめました。
特にこのシリーズで人々を自分の世界へ引きずり込み、恐怖を与える高谷さなという存在は、個人的に貞子や伽椰子に続く新たなホラーアイコンになりうるキャラクターだったように感じます。


大体のホラーでは、生前の悲劇や理不尽な最期によって怨霊化するパターンが王道ですが、さなはその王道パターンを逆手に取った存在。
一見すると悲劇的な過去を持つ少女のようにも見えていましたが、ストーリーが進むにつれ一般的な善悪や倫理観が大きく欠落した人物である事が明らかになっていきます。

せきゆら
せきゆら

猫を殺めたり人を故意に突き落として死なせたりと、むしろ加害者側です。

さらに彼女は「歌で人を呪う」という特徴を持っていますが、これも怨霊として呪うというより「自分の歌をみんなに届けて、みんなを自分の世界に惹き込みたい」という子どもらしい純粋な夢のため。
まさかのポジティブなタイプの幽霊です。
しかしその子ども故の純粋さが、余計に不気味さを増幅させていました。

では歌さえ聴かなければ良いのか?
というとそうでもなく、さなは自身の姿を認識した相手すらも引き込む能力を持っているので、もう回避のしようがありません。
しかも一部の霊感が強い人間だけでなく、登場人物ほぼ全員に自身の姿を認識させる事が出来るので、理不尽さもトップクラスです。
加えてホラー演出自体も、
・同じやり取りを延々と繰り返すループ的な恐怖
・あえて出だしから間を置かずに対象を一瞬で仕留める
・家族までも巻き込んだ多方向の脅かし

とバリエーションが非常に豊かで、ワンパターンにならないため、観ていて飽きる事がありませんでした。

せきゆら
せきゆら

特に印象的だったのはゲームセンターを舞台にした恐怖シーン
あの空間特有の暗さとネオンの光、無機質な機械音が混ざり合う雰囲気がホラーと相性抜群でした。

そしてラストは行方不明となった皆を取り返し、たちまちハッピーエンドの空気に。
「でもホラー映画だし、一応身構えておくか」と軽く警戒はしていたのですが……。
それでも驚かされるほどのどんでん返しが待ち受けていました。
割と熱い展開が多かったので、ここまではやらないだろうと正直思っていました。
それすらもこの絶望のための伏線だったとは……。
しかしそうなると、直前に自身の命と引き換えに、さなを道連れにした彼女の母親がどうなっていたのかがよく分からなかったです。
助かったシーン自体が幻覚と判明した今、母親の描写もどこまでが真実だったのでしょうか。

せきゆら
せきゆら

道連れに出来ていないとなると、憑りつかれていた瞳は本当に無事だったのか気になります。

ミンナのウタ

まず最初に『ミンナのウタ』を視聴して驚いたのは『あのコはだぁれ?』で一瞬だけ登場した、マキタスポーツさん演じる妙にキャラの濃い探偵が、実は本作の主要人物だった事です。
前作からのゲストのような存在だったんですね。

しかしそこからさらに驚かされたのが、かの人気グループ GENERATIONS が本人役として出演し、高谷さなの世界へ引きずり込まれてしまう事。
続編だけを観ていた私の中では「いうて身内や学校関係者しか引きずり込んでないしな……。」と油断していた部分があったので、まさかのGENERATIONSをターゲットにしていた過去があった事にビビらされました。
「歌」という共通点は分かるものの、さなも自分の歌とかなり方向性の違う音楽にいきましたね。


そしてそのような経緯がある事から、本編では GENERATIONS の楽曲や練習風景・ライブ映像等が随所に差し込まれるため、全体の雰囲気は『あのコはだぁれ?』と大きく異なっていました。

せきゆら
せきゆら

余談ですが『あのコはだぁれ?』でも、とあるシーンにGENERATIONSのメンバーがカメオ出演しています。気になる方は探してみてください!



更に『ミンナのウタ』はホラー色が強い続編と異なり、物語の序盤から「さなとは何者なのか」という謎がメインになるため、サスペンス要素の方が強かったように感じました。
続編では描かれなかった「なぜさなが屋上で女子生徒たちに問い詰められていたのか」といった、続編だけでは分からなかった背景もここで解き明かしてくれます。

そのためホラー演出は続編より控えめではあるものの、まったく怖くないという訳ではもちろんございません。
こちらもGENERATIONSのメンバーが1人ずつ襲撃されていくシーンなど、ホラー描写もしっかりと健在。
こちらもあらゆるバリエーションで怖がらせてくれます。
しかしラストは続編と異なり、GENERATIONSのマネージャーがさなに寄り添うという選択肢を取った事で、行方不明者たちを全員救出する事に成功。
マネージャー本人も無事に帰されます。
ラストはさすがに不穏な気配がありはしたものの、結果だけ見るとまさかの死亡者なしです。
『あのコはだぁれ?』でも多くの行方不明者が出ましたが、悠馬を巡って対立した君島と、さなに暴言を浴びせた女子高生しか殺していない(さな母は道連れなので除外)あたり、今の所さなと敵対するような言動をしない限りは、見逃してもらえるパターンが多いようです。
このあたりは恨みから呪う怨霊と違い、純粋に夢のために自身の世界へ引きずり込もうとする、さなならではの特徴かもしれません。

最後に

何気なく選んだ作品でしたが、予想以上に楽しめました。

さなの行動原理の中に、夢だけでなく「弟を取られたくない」という意思も含まれている以上、悠馬自身が解放されるためにも、彼がさなと決着をつけなければいけないように思ったのですが、続編ではどうなるのでしょうか。

せきゆら
せきゆら

続きが楽しみになる作品でした。

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