劇中で流れる平沢進の『パレード』自体は知っていたものの、難解そうな内容でなかなか観る勇気が出なかった映画『パプリカ』。
しかしずっと気になるままにしておくのも勿体ないと思い、ついに観てみる事にしました。
※以下、後半にネタバレが含まれますので、ご注意ください。
初めて見る人でも大丈夫?
先入観でつい身構えて観てしまいましたが、物語の大まかな流れは初見でも理解できるように作られていたため、予想より話についていけなくなる事はありませんでした。
ただ物語の細かな設定部分は言葉による説明ではなく、夢や現実の中に出てくるモノや映像によって視覚的に暗示されることが多いです。
そのため何となく意味深に感じる描写に気づけはするものの、映像の展開がとても早くて、じっくり考える時間がないのが正直なところ。
細かい部分まで理解しようと思うと、何回か観る必要がありそうだと感じました。
夢そのものの映像体験
観る前からあの独特な雰囲気の空間は何なのか不思議に思っていたのですが、あれこそ“人が見る夢の中の世界”だと知り、妙に納得してしまいました。
あそこまで鮮明ではないものの、自分が夢を見るときにも、頭の中にある言葉やモノのイメージが、まるでスライドショーのように無作為に再生されていく感覚だけはうろ覚えながらもあります。
『パプリカ』の映像は、まさにその感覚にとても近く、思っていた以上にあの独特な世界をすんなりと受け入れやすかったです。
音が導く、不思議な没入感
恥ずかしながら、本作については「パレード」に関する知識くらいしか持っていませんでした。
しかし実際に観てみると、劇中歌を含む音楽を平沢進が全面的に手がけていたらしく、どの音楽も映像にぴったりと合っていました。
不気味なのにどこか楽しげで、未来的なのにどこか懐かしい――そんな不思議なバランスが、夢と現実が交錯する作品の世界観と重なり合っていて、聴いているだけで引き込まれてしまいました。
芸術的な感性に乏しい私でも「音楽はこれほどまでに映像に影響を与えるものなのか」と実感させられます。本当にこの音楽がなければ、同じ映像でもまったく別の作品になっていたと思います。
まとめ
観る人を選ぶ難解な作品というイメージが私の中で先行していましたが、実際に観てみると、理屈よりもまず感覚で映像と音楽の融合を楽しめる作品でした。
もちろん細かい設定やキャラクターの背景、夢と現実が入り混じる構造など、1回では掴みきれない要素も多くありますが、それが逆に「もう一度観たい」「次はもっと理解できるかもしれない」という興味につながっているように感じます。


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