【感想】「#真相をお話しします(結城真一郎)」youtuber、リモート飲み会…馴染みあるテーマでミステリー初心者でも読みやすい短編集

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ミステリー
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【#真相をお話しします】のあらすじ

ミステリ界の超新星が仕掛ける、罠、罠、罠、罠、罠。
家庭教師の仲介営業マンとしてしのぎを削る大学生。
娘のパパ活を案じながらも、マッチングアプリに勤しむ中年男。
不妊に悩んだ末、精子提供を始めた夫婦。
リモート飲み会に興じる学生時代の腐れ縁。
人気YouTuberを夢見る、島育ちの小学生四人組。
微笑ましくて、愛おしくて、時に愚かしい。
令和を生きる私たちにニュー・ノーマル。
—本当に?読みながら覚えるかすかな違和感と確かな胸騒ぎ。
それでも、あなたの予想は必ず裏切られる!
緻密で大胆な構成と容赦ない「どんでん返し」の波状攻撃に瞠目せよ。
第74回日本推理作家協会賞“短編部門”受賞作「#拡散希望」を収録。

「BOOKデータベース」 より

本書は結城真一郎による短編のミステリー小説です。
「惨者面談」「ヤリモク」「パンドラ」「三角奸計」そして第74回日本推理作家協会賞短編部門を受賞した「#拡散希望」の五編が収録されています。
本屋大賞にもノミネートされ、書店のランキングでも上位にあがる事が多かったタイトルなので、見た記憶がある方も多いかもしれませんね。
またコミカライズもされており、こちらではオリジナルの描き下ろし『定期購毒』が収録されているようです。

【#真相をお話しします】はどんな人にオススメ?(レビューまとめ)

Amazonレビューでは下記のような感想がありました。

批判的な意見
・読後感が悪い
・ミステリーに慣れていると先の展開が分かりやすい
・宣伝が大げさすぎる

本書は比較的イヤミスに近い内容のせいか、人によっては拒否反応が起きているようですね。
またミステリーに慣れている人には難易度が低かったらしく、肩透かしを食らった人もいたようです。
これに対し、肯定的な意見も多くありました。

肯定的な意見
・話がトリッキーで面白い
・読書は苦手だが楽しめた
・親近感のある題材なので入り込みやすい
・短編なのでサクサク読みやすい

本書は題材が「マッチングアプリ」「リモート飲み会」「youtuber」等、現代に馴染み深いものが多いため、内容が頭に入りやすいです。
更に登場人物が少なく、情報も最低限に凝縮されており、伏線が分かりやすくなっています。
1つの話につき30分程度あれば読み終えられるので、気軽に手に取りやすいのも魅力です。
そのため読書やミステリーが苦手な人にもオススメ出来る作品だと思います。

せきゆら
せきゆら

反面、物語よりもトリックに重点を置いているため、ストーリーを楽しみたい人には向かない作品かもしれません。

【#真相をお話しします】の感想(ネタバレ注意)

真相のネタバレが含まれておりますので、閲覧の際はご注意ください。

惨者面談

主人公は家庭教師の営業をやっている片桐。
今日もまた彼はとある家族の家へ営業に向かいますが、その家の母と子の様子がおかしく…


犯人自体は目に見えて分かりやすいのですが、その先にあるもう一つの真相にたどり着くのが難しい作品。


真相(ネタバレ注意)
母親は偽物。
丁度彼女がこの家の母親を殺害してしまった所に片桐がやってきたため、慌てて母親の演技をしていました。
しかしその後、子供の方も偶然同じタイミングで家に侵入してきた偽物である事が判明します。
母親の分かりやすい怪しさに気を取られ、息子に注意を向けられなかった人も多かったのではないでしょうか。
私もその1人です。
確かにこの世界では、小学生は想像以上に精神が大人で、犯罪に手を染めるケースもあるという伏線はありましたが「さすがにそこまでやる小学生はいないだろう」と思いスルーしてしまいました。
さすがにこのまま母親が犯人というオチだけで終わるとは思ってませんでしたが、まさか息子が最後の爆弾になるとは思いもよりませんでしたね。

ヤリモク

主人公は妻から「娘の美雪がマッチングアプリでパパ活をやっているかもしれない」と相談されます。
しかし主人公もその裏でマッチングアプリを利用していました。
今日も娘によく似た女性・マナとマッチングすると、彼女からマッチングアプリを利用する女性を狙った連続殺人事件の話を聞かされ…



真相(ネタバレ注意)
事件の犯人は主人公。
娘に似た女性を殺し続ける事で、彼女にマッチングアプリをやめさせようとしていました。
しかしマナを殺した時に、美雪がマナと同じ美人局を行う組織の一員に所属しマッチングアプリを利用していた事実を知ってしまいます。

やたらマナと美雪が似ている事が強調されていたため、
「2人は同一人物?でも仲の良い親子なら変装してても互いの正体に気づけるのでは?それとも自分に似た女性を美雪が何かしらの理由で殺している?」
など的外れな勘ぐりをしてしまいました。
「事件の被害者の人数」と「主人公がこれまで出会い系アプリで出会った人数」
ここに注意を向けていれば、真相に到達出来たかもしれません。
むしろ「ヤリモク(=殺リモク)」というタイトルから答えを導き出せた人もいたかもしれませんね。
美雪の正体はラストまで無駄に疑いすぎた上、父親である主人公の異常性を見せられた直後だったので、驚きよりも「この親にしてこの子あり」という納得感の方が大きかったです。

パンドラ

主人公は娘を持つ父ですが、過去に不妊治療で苦労した経験から妻の許可を得て精子提供をしていました。
その結果、何やら訳有りな女性に精子提供をする事となりました。
それから15年後、精子提供によって生まれたもう1人の娘・翔子から主人公へ「会いたい」という連絡が入り…

真相(ネタバレ注意)
主人公から精子提供を受けた女性は、夫が凶悪犯罪者として逮捕されていました。
彼女は子供が生まれた時、犯罪者の子であると確定させたくなかったため精子提供を受けたようです。
その上で翔子は、犯罪者の娘ではないという希望を持ちたいので主人公に血液検査をして欲しいとお願いしてきました。
これを受け、血液検査をした主人公はA型ではなくB型である事が判明。
翔子(B型)にとっては良い結果となりましたが、妻がB型・娘がAB型である主人公は自分の娘の血液型と合わない事を知ります。

パンドラというタイトル、そしてテレビの血液型占いでわざわざ家族全員の血液型を強調してきた所で「実の娘と血が繋がってないんだろうな…。」という空気感はありました。
そのため他の話よりも難易度は低めです。

ちなみに主人公は自分の娘と血液型が合わない事を知った後、「パンドラの箱を開けない」という選択をしたため、事実は明らかになりません。

しかし過去に妻が不妊に悩み、精神的に追い込まれていた様子や、夫の精子提供にすんなり許可を出していたのを見るに、妻も精子提供を受けていたのではないかという推測は一応出来ます。

三角奸計

大学時代の友人である桐山・宇治原・茂木の3人はリモート飲み会を開く。
飲み会の途中、宇治原がこっそり桐山に
「茂木の家に女がいる。
その女は自分の婚約者で茂木と浮気している。
今から茂木を殺しに行く」

と言い出します。
慌てて止めようとする桐山ですが…。

真相(ネタバレ注意)
宇治原の彼女が浮気している相手は桐山。
桐山は彼女に相手がいる事は知っていましたが、それが宇治原の婚約者である事までは知りませんでした。
これを知った宇治原は茂木に協力を依頼し、桐山がどこまで知っていたか探るためにリモート飲み会を開いていました。

作品全体の雰囲気や流れが掴めてくるタイミングのせいか、ここまでくると推理が進みやすくなっていると思います。

リモート飲み会を利用した現代ならではのトリックがこのストーリーの最も面白い部分です。
ただ前科持ちである宇治原には危うい部分があると知りながら、軽率に殺人の片棒を担いでしまった茂木への違和感は最後まで拭えませんでした。
これならいっそ茂木も主人公に恨みがある設定にしてくれた方が、スッキリしましたね。

#拡散希望

主人公は両親の都合で匁島に住む小学生、渡辺珠穆朗瑪(ちょもらんま)。
島にいる小学生は同じく移住してきた砂鉄、口紅(ルージュ)と島に元からいた凛子だけ。
ある日、凛子からyoutuberにならないかと誘われて…

真相(ネタバレ注意)
主人公・砂鉄・口紅の両親は人気youtuber「ふるはうす☆デイズ」のメンバー。
子供達のキラキラネームから島への移住まで全て動画のネタでした。
口紅は両親とグル。
これを知った凛子は口封じとネタ作りのため口紅(と両親達の入れ知恵)に殺されてしまいました。
復讐を誓う珠穆朗瑪と砂鉄は公開生放送でその真実を明かした後、拘束した口紅を殺すかどうか視聴者投票で決めようとします。

読んでいて混乱している内に、思いも寄らない真相が明らかになっていき、ただただ驚くばかりでした。
確かに見返してみれば、主人公の親はやたら凜子を主人公から引き離そうとしたり、通り魔の事件の話題を避けようとしたりと、不審点がたくさんあります。
なぜ気づけなかった…と悔しい思いです。
さすが日本推理作家協会賞受賞作ですね。

せきゆら
せきゆら

「#拡散希望」は公式の特設サイトで全文公開されているため、本書を読むか迷っている人は試しにそちらから読んでみるのもオススメです。



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