【感想】「高校入試(湊かなえ)」イヤミス要素控えめな学校ミステリー

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ミステリー
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【高校入試】はドラマから始まり、小説化した作品

本書は元々湊かなえが初めて脚本を手掛けたテレビドラマ『高校入試』(フジテレビ・2012年10月6日-2012年12月29日)のシナリオを改めて書き下ろし、小説化したものです。
ドラマは主演の長澤まさみをはじめとした豪華キャスト(下記参照)な上、湊かなえ衝撃のデビュー作である『告白』以来の学校ミステリーという事で話題を集めました。

せきゆら
せきゆら

主題歌はback numberの『青い春』です。

キャスト一覧
春山杏子(英語担当):長澤まさみ
小西俊也(英語担当):徳永秀典
荻野正夫(情報処理担当):斉木しげる
相田清孝(体育担当):中尾明慶
滝本みどり(音楽担当):南沢奈央
宮下輝明(美術担当):小松利昌
村井裕志(数学担当):篠田光亮
坂本多恵子(英語担当):高橋ひとみ
松島崇史(英語担当):羽場裕一
松島良降(受験生・崇史の息子):高杉真宙
水野文昭(社会担当):阪田マサノブ
上条勝(教頭):清水一彰
的場一郎(校長):山本圭
石川衣里奈(2年B組の学生):山崎紘菜
沢村幸造(同窓会会長):入江雅人
沢村哲也(幸造の息子):荒木宏文
沢村翔太(幸造の息子・受験生):清水尋也
芝田昌子(受験生の母親):生田智子
芝田麻美(受験生):美山加恋
田辺光一(受験生の兄):中村倫也
田辺淳一(受験生):柾木玲弥
寺島俊章:姜暢雄
徳原優介:倉貫匡弘

実を言うと私は小説からドラマの存在を知ってしまいました。
そのためこのドラマの情報を全く知らなかったのですが、これはこれで何の先入観もない状態で読める貴重な機会だと思い、読んでみることにしました。

読み終わった後にキャストを調べてみたのですが、自分の中に出来た登場人物のイメージに合っていた人とギャップがあった人がいて、比較しながら楽しめましたね。

せきゆら
せきゆら

村井先生を演じていたのが、かの有名なホラーゲーム『SIREN』の主人公・須田恭也(通称・SDK)だった事には驚きです。

【高校入試】のあらすじ

県内有数の進学校・橘第一高校の入試前日。
新任教師・春山杏子は教室の黒板に「入試をぶっつぶす!」と書かれた貼り紙を見つける。
そして迎えた入試当日。
最終科目の英語の時間に、持ち込み禁止だったはずの携帯電話が教室に鳴り響く。
さらに、ネットの掲示板には教師しか知り得ない情報が次々と書き込まれ…。
誰が何の目的で入試を邪魔しようとしているのか?
振り回される学校側と、思惑を抱えた受験生たち。
やがて、すべてを企てた衝撃の犯人が明らかになる—。

「BOOKデータベース」 より

『思惑を抱えた受験生たち』という部分に含みを感じますね。
とはいえ試験中、教師に監視されている受験生にそこまで大きなアクシデントを引き起こせるのでしょうか。
学校関係者や保護者あたりも絡んでいそうな所です。

【高校入試】はどんな人にオススメ?(レビューまとめ)

Amazonレビューでは下記のような感想がありました。

批判的な意見
・犯人の動機にしっくりこない
・登場人物が多過ぎて混乱する
・場面の切り替わりが多すぎる

今回も『告白』同様、登場人物ごとに視点が切り替わる形で話が進みます。
しかし今回は『告白』以上に登場人物が多いため、視点ごとに追うのが大変でした。
小説の最初についていた人物相関図によるとその数なんと23人。
多すぎて最後まで誰だったか覚えられなかった人物もいました。
中でも担当教科と教師の名前がなかなか一致させられず…定期的に人物相関図を見返さなければ、途中から誰が何をしたのか分からなくなってきますね。
短い時は1ページ足らずで別の人物に視点が切り替わる事もあるため、初見では内容がなかなか頭に入りづらい構成になってます。
これに関しては元がドラマである事を前提としていたからだと思いますね。
連続ドラマに出てくる人数として見ればそれほど多い訳ではありませんし、ドラマのシナリオを元に小説化させた事で、普通の小説に比べると違和感が生じてしまうのは致し方ないかもしれません。


対して、肯定的な意見も多くありました。

肯定的な意見
・伏線があるのに予想外の結末だった
・後味が良い
・臨場感がある
・登場人物に人間味がある

『イヤミス(読後感の悪いミステリー)の女王』と呼ばれる湊かなえにしては、スッキリとした読後感でした。
逆にいうとイヤミスを期待している人は肩透かしを食らうかもしれません。
モンスターペアレントや保身に走る人物など、意図的な不快さを感じさせてくる登場人物は確かに多いのですが、よくいる嫌な人止まりでイヤミスという程ではありません。
そのためイヤミスが苦手な人でも読める作品だと思いました。

【高校入試】の真相(ネタバレ注意)

一連の事件の首謀者は田辺淳一
共犯は荻野正夫・春山杏子・石川衣里奈です。
学校関係者が犯人である疑いはあったものの、まさかの主役が犯人サイドでした。

淳一と衣里奈は途中から怪しさを隠す気がなかったため分かりやすいですが、荻野先生まで当てられた人は少なかったのではないでしょうか。
学校関係者が怪しいとは思いましたが、どの先生かまでは正直分からなかったですね。


最終的に田辺の動機の発端でもある荻野先生は、罪滅ぼしのため首謀者は自分だと主張し自主退職。
石川は5日間の停学処分。
春山先生も責任を取ろうと退職を申し出ましたが、校長に却下されました。
それを知らない田辺が首謀者である自分に罰が与えられない事に疑問を抱くと、春山先生はこう返します。

「私たちは、責任すら取らせてもらえない。
その代わり、身代わりになってくれた人の思いを、背負わなければならない。
何かを変えようという気持ちを持つことは大切です。
でも、やり方は考えないといけない。
責任を負うという覚悟を持って」

春山杏子

責任を取れない立場にある者の言葉として刺さるのは勿論、今回掲示板を題材にネットの誹謗中傷について書かれていた事から、SNSに対する向き合い方についても言及されているように感じました。
この作品が出て10年ほど経過していますが、ネットの誹謗中傷は現在でも深刻な問題であるため、今読んでも考えさせられる所があります。

せきゆら
せきゆら

匿名のネットだと責任を負うという感覚が薄くなってしまうのかもしれませんね……。




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